角膜潰瘍_結膜皮弁法

 

草むらなどに顔を突っ込んで目に傷がついて痛そうにしている…なんて症例はよく診ます。

大抵の場合は目薬ですぐに治ります。

 

しかし、大した傷ではないのに中々よくならず難治性の角膜潰瘍へと移行してしまう子が稀にいます。

 

その場合まずはその子の血液から作成した血清点眼で治療を試みます。

角膜は透明で血管が走っていないため、治す成分は涙を介して運ばれます。

それでは治る速度が足りない場合、血清を点眼して直接治す成分を届けるといった治療です。

 

それでも治らない場合は麻酔をかけて格子状角膜切開術と眼瞼縫合を行います。

慢性化してしまって治そうとする力が弱まってしまっている角膜にわざと薄い傷をつけて治癒能力を目覚めさせる処置を行います。

さらにしばらくの間まぶたを縫っておいて目が開かない状況にしておくことで大抵の場合は綺麗に治ってくれます。

 

それでも治らない場合、もしくは初めから傷が深い場合、長く放置してしまった場合は眼球に完全に穴が開いて潰れてしまう前に結膜を使って潰瘍を塞ぐ手術が必要となります。

 

※以下、手術画像となりますので苦手な方はご注意ください。

 

こちらは長く放置してしまった角膜潰瘍になります。

白く白濁した黒目と中心部に大きな潰瘍があります。

角膜はいくつかの膜や実質で成り立っていますが、最後の砦のデスメ膜が今にも破れそうに露出してしまっている状況です。

流石にここまでくると上記の治療で治すのは困難だと判断し、結膜を使って穴を塞ぐこととしました。

 

白目の部分にある結膜を切り取って穴にかぶせているところです。

被せた結膜はだんだん退縮して薄くなってくるのでだいぶ厚めに切り取っておきます。

 

いじっていると結膜が腫れてくるのでだいぶ見づらいですが、結膜と角膜を縫合して穴を塞いだところです。

 

術後1週間の様子です。

結膜と角膜がうまく結合してくれています。

 

さらに3ヶ月後の様子です。

写真では分かりづらいですが、角膜と結膜が完全に癒合しています。

もう少し結膜が薄くなって目立たなくなりますが、白く残ったままにはなります。

角膜が覆われているので物を見づらくはなりますが、視力が失われたわけではないので光などは感じることができます。

眼球が潰れて摘出しなければならなくなるのを防ぐ処置となります。

 

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