2016/07/08
今日は珍しい症例をご紹介します。
昔から下腹部だけハゲていたが、最近広がってきたとのことで来院されました。
16歳の高齢猫ちゃんです。
2か月前の写真です。
皮膚炎はなく、ただ毛が薄くなっています。
お腹側はこんな感じ。
全体的に炎症はほとんどないですが、一部舐め壊している部分があったので、念のため感染の除外を行いました。
ノミ・ダニ予防、皮膚スタンプ検査、毛検査、皮膚糸状菌PCR検査。
舐め壊して炎症が起きているところに若干細菌がいる程度で、原因となりうる感染は見付かりませんでした。
舐め壊したところも治り、全身かゆそうにしているわけではないので、食物アレルギーやアトピーの診断に進むというよりは、ホルモン失調もしくは心因性の脱毛を疑いました。
そこで全身の血液検査とホルモン検査をやらせて頂きました。
すると軽度の甲状腺機能亢進症が見付かりました。
高齢の猫では珍しくない病気です。
ただ、犬の場合の甲状腺機能“低下”症でハゲてしまうのはよく見ますが、今回は“亢進”症。
一応、甲状腺機能亢進症の症状に「過剰グルーミング」というのがありますが、果たして本当にそのせいでハゲていっているのか…。
半信半疑でしたが、亢進症の治療をしなければならないことに変わりはないので、甲状腺ホルモンを抑える薬を開始しました。
甲状腺ホルモンの数値も安定し、2か月が経ちました。
すっかり毛が生えてくれています。
お腹側はまだ薄いですが、これから生えてきてくれるのではないかと思っています。
グルーミングの頻度も減ったとのことです。
こういう「治したったで!」感の強い症例はテンションあがりますw