犬の門脈体循環シャント(PSS)血管結紮術

消化器科専門外来にて行った手術です。

 

門脈体循環シャント、略して門シャンやPSSのシャントと呼ばれます。

本来、腸から吸収された栄養素や毒素(アンモニア)は門脈という血管から肝臓に運ばれて処理されますが、肝臓とは別のルートに流れる血管(シャント血管:下画像のピンク色)ができてしまっている状態を言います。

肝臓へ栄養が届かぬばかりか毒素が適切に処理されず様々な悪影響を及ぼします。

門脈シャント

主な症状は、ご飯を食べた後しばらくするとフラフラしたり、吐いてしまったり、けいれんを起こしたりするケースもあります。

食べると具合が悪くなるので食が細かったり、肝臓への栄養も乏しいため肝臓が未発達になりガリガリに痩せてしまっている場合が多いです。

 

上記の症状があり、血液検査で食後の総胆汁酸やアンモニアが高くなっていたらこの病気を疑い、まずはCTを撮影します(上写真)。

CTにてシャント血管が確認できたら開腹手術にてシャント血管を結紮し、誤ったルートへの血流を遮断します。

この時、正しいルートである門脈が未発達で、シャント血管を結紮したことで門脈の血圧が高くなりすぎてしまう場合は2度に分けて手術を実施することもあります。

今回の症例では1度の手術で結紮することができました。

 

※ここから手術画像になります。苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 

まず観血的に血圧を測ったり造影剤を投与するための血管を確保します。

 

シャント血管を見付けて確保しているところです。

 

シャント血管を仮結紮して手術中にレントゲンを撮ります。

正しい血管を結紮できているか、ちゃんと門脈へ造影剤が流れるか、門脈圧が上がり過ぎないかを確認します。

問題がなければシャント血管を結紮します。

 

手術が無事成功しても72時間は原因不明のけいれんが起きる場合があるので24時間体制で管理を行います。

今回は何事もなく72時間が経過し、今ではモリモリとご飯を食べて元気になってくれたとのことで一安心です。

外観

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